当ネットワークでは、過剰な薬物報道の弊害を鑑み、「薬物報道ガイドライン」を提案する運びとなりました。その意図と内容を報道のみなさまにご説明するため、下記の通り記者会見を行ないました。
会見日時:2017年1月31日(火)午後1時〜
開催場所:厚生労働記者会(中央合同庁舎第5号館 9F会見場)
参加申し込み:加盟していない報道機関は事前の申し込みが必要です。
Tel 03—3595—2570(厚生労働記者会)
出席者:
松本 俊彦 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部部長
上岡 陽江 ダルク女性ハウス 代表
横川 江美子 全国薬物依存症者家族会連合会 理事長
田中 紀子 一般社団法人ギャンブル依存症問題を考える会 代表
今成 知美 特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)代表
荻上 チキ 評論家・パーソナリティ
経緯:
昨年、元野球選手、元俳優、ミュージシャンらの薬物報道が相次ぎました。
報道は過熱し、プライバシー侵害、著作権侵害、器物損壊にまで発展。
同時に、ワイドショー出演者の発言は依存症への偏見や誤解を助長し、違法薬物への関心を煽る結果となる報道もありました。実際、著名人が逮捕されて報道が激化するたびに、臨床現場では薬物を再使用する例が続発しています。
「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」は、依存症という病気を正しく伝え、回復を後押しする報道が増えてほしいと願い、昨年7月、関係団体と専門家によって結成しました。発足当初から、WHOの「自殺予防メディア関係者のための手引き」(連鎖自殺を防ぐため、WHOが2000年に勧告。メディアが自殺を報じる際、支援機関を紹介する、写真や遺書を公表しない、自殺手段の詳細な報道や美化した報道を避ける等11項目を提示)のような報道ガイドラインをつくりたい、と考えていましたが、どう取り掛かればいいかわからずにいました。
そこに、声をかけてくださったのが、荻上チキさんです。
チキさんの原案を叩き台に、1月17日、チキさんがパーソナリティを務める「荻上チキ・Session-22」(TBSラジオ)に、当ネットワーク発起人である、国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦、ダルク女性ハウス代表の上岡陽江、ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子が出演。さらに当事者やリスナーの意見も交えて、今回提案する「薬物報道ガイドライン」ができました。
この提案が、今後の薬物報道のあり方を変える契機になることを願っています。