依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク

第2回「グッド・プレス賞」表彰式のご報告

日時:2019年9月6日 金曜日 PM6:00~
会場:大手町ファーストスクエア  カンファレンスRoom

依存症問題の正しい啓発にご尽力頂いたメディアの方々に感謝の賞を送らせて頂きたいと昨年度設立致しました「グッド・プレス賞」。
第2回となる本年度の授賞式は2018年1月1日~12月31日までに掲載や配信された記事や放送が対象となります。2018年度は、芸能人の方のアルコール問題や、カジノ法案に関連したギャンブル依存症問題などが多く取り上げられた年でした。
依存症の啓発に役立つ報道をして頂いた皆様方に改めて御礼申し上げます。
授賞式の概要と共に本年度の受賞者の方々をご紹介いたします。

<新聞部門>

読売新聞
「依存症を支える(全5 回)」/「依存症と家族(全3 回)」その他記事14 回

「依存症を支える全5回」記者 森井雄一さん、「依存症と家族全3回」記者 島田愛美さんにお越し頂きました。
お二人とも受賞を大変喜んで下さり、島田さんはわざわざ福岡より急遽駆けつけて下さいました。
取材により「何故繰り返してしまうのか?」という依存症の謎が理解できたとおっしゃって頂きました。

<ラジオ部門>

NHK 関西発ラジオ深夜便
「がんとアルコール依存症を乗り越えて」「若者よ!一気飲み・アルハラで命を落とさないで」

「がんとアルコール依存症を乗り越えて」アンカー中村宏さんより「依存症治療のプログラムで回復し、断酒会に通いながら復職し、大学のホームページでカミングアウトし、アルコール依存症は治療で回復する精神疾患であることを知ってほしいと活動している前田さんを尊敬しています。」
「若者よ!一気飲み・アルハラで命を落とさないで」アンカー住田 功一さんより「飲酒の強要はアルコールハラスメントであることを、もっと社会に浸透させるべきだと思います。だまっていては広がりません。多くのご遺族の飲酒事故根絶の願いが今後も広がり続けることを願っています。」
と、メッセージを頂きました。

<テレビ部門>

フジテレビ ノンストップ!
「元うたのお兄さんが胸中告白 薬物依存克服のためライブ開催」
「ダンプ松本衝撃の過去 30 年以上・・・パチンコ依存の過去」

番組制作サイドより、成田隆廣さんにお越しいただきました。この番組により初めて、再起に向け回復に取り組んでいた元NHKうたのお兄さん杉田あきひろさんの、明るく前向きな姿、そしてそれを応援する地域の皆様の様子を報道して頂くことができました。
今回の授賞式で成田さんと杉田さんが初顔合わせとなりました。
杉田さんから「正直、マスコミの報道が恐くて。真摯に回復に取り組んでいる人がいれば応援したいと松川村が応援してくれコンサートを開けたんですが。少し前に、他の番組に呼ばれた時に、批判されバッシングされて終わってしまったので、その後ノンストップさんがいらして、僕たちにも希望が持てるようなメッセージを発して下さった。それは、僕の光になりました。」と、コメントがありました。


TBSテレビ爆報フライデー
「巨額使いこみ事件~井川意高氏特集」
「爆笑問題結成30 周年企画!同期芸人の春一番の壮絶な死の裏側!」

2つの番組ともに、表面的な出来事だけでなくその裏に隠された、依存症問題が分かりやすく解説され啓発に役立つ番組でした。


日本テレビ ザ!世界仰天ニュース
「マジか…衝撃&感動 有名人の密かな苦しみ2 時間SP」
脳に異変…アルコール依存症の真実(ZIGGY 森重樹一氏特集)
何故やめられない?パチンコ依存の真実!(ダンプ松本氏特集)

番組プロデューサーの藤澤季世子さんがご来場下さり、「依存症は、もともとは心のゆるみやだらしないところがあるからではないかという先入観があったが、実際は脳の機能障害だったという驚きがあった。」
とコメント頂きました。藤澤さんらスタッフの皆様が、依存症に深い理解を示して下さったことで、自助グループの必要性などに切り込んだ深みのある番組が生まれました。


関西テレビ ドラマ 「健康で文化的な最低限度の生活」
「第8 話:アルコール依存症に侵された利用者」

原作者の柏木ハルコ先生と米田孝プロデューサーよりメッセージをいただきました。
柏木さんからは「依存症に関する知識が社会に浸透し、皆さまが生きやすい社会になりますよう心より祈っています。」
米田孝プロデューサーからは、「アルコール依存症は回復の為に人とつながることが欠かせない事を知り、このドラマのテーマを最も強く表現できると考えて制作した回でした。」

<デジタルメディア部門>

ハフポスト日本版
「TOKIO・山口達也メンバーも入院 アルコール問題と依存症、苦しんだらどうする?」(石戸 諭記者)
「アルコール依存症の実態とは? TOKIO 山口達也の飲酒めぐって注目。専門家『まずスクリーニングテストを』」(生田 綾記者)

会場にはハフポスト副編集長 泉谷由梨子さん、記者の生田綾さんがご来場くださいました。
泉谷副編集長より「普段、依存症について読んでもらえないような人にも、きっと読んでもらえるだろうと期待を込めて、とりかかりは芸能のニュースかもしれないけれど、読んだ人に少しでも正しい知識を知ってもらえるようにと編集しております。」
生田記者からは、「注目されていないアルコール依存症の啓発になるような記事を出したいと思ったのがきっかけです。」とコメント頂きました。
尚、生田綾さんは、「グッドプレス賞2018」の模様を後日改めて記事にまとめて下さいました。この記事もまた、依存症の啓発に役立つ渾身の記事となっておりますので、是非ご一読下さい。
生田綾さん、本当に有難うございました。

違法薬物で逮捕された人は、笑顔を見せちゃダメなのか? 高知東生さんたちと話し合った、「回復」を支えられる報道のあり方 | ハフポスト


朝日新聞出版 AERA dot.
連載 言わせてもらいますけどね
「山口達也の“ 酒” 問題 カンニング竹山も向き合った 『 アルコール依存症の治療で一番難しい事』」

今田 俊 編集長がご来場下さり、コラムを書かれたカンニング竹山さんからのメッセージを代読して下さいました。
竹山さんからのメッセージ
「アルコールや薬物の依存症について発言するようになったのは、僕の単独ライブで薬物をテーマにしたところからスタートしています。麻薬取締官に密着ロケをして、日本ダルク代表の近藤さんや田代まさしさんに取材をさせてもらいました。新しい発見があったりいろいろな考え方ができたりしました。その後は、このようなテーマでTVで発言するときには間違いがないように事前に調べるようにしています。依存症の人に対して、ダメだダメだと批判しても解決しないのだから、ダメだからこの人が次の人生を歩むためにどうしたら良いのかという視点で話すようにしています。」
日頃、依存症問題に深い理解を示して下さっている、竹山さんらしい温かいメッセージをありがとうございました。

<雑誌部門>

該当なし

ネットワークメンバーと受賞者の皆様と記念撮影

 

【第2部 座談会】

「薬物問題でバッシングにあった有名人 ~渦中から復帰までを語る~」

〇ゲスト
杉田 あきひろ さん(元NHKうたのお兄さん)
高知 東生 さん (俳優)
塚本 堅一 さん(元NHKアナウンサー)

〇ファシリテータ
松本 俊彦 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部 部長
田中 紀子 公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会代表

塚本堅一さん
私自身は2016年に違法薬物の製造という罪で逮捕されました。その後ひとりで社会復帰しようとおもったけれど、ダメで。一番初めに業界の田中紀子さんにメールをして、助けを求めることができ、その後、松本先生のところにつなげてもらいました。
また人前にでることは勇気のいる事ですけれど、なにか意味があるではないかと思って今日参加しました。

高知東生さん
すごい緊張していますね、マスコミさんって聞くとキュッと身構えてしまう。正直な話、今年の2月まで引きこもりで外に出るのが恐くて、最大限落ち込んでいました。
引きこもって俺はダメだと思っていたけれど、仲間たちが迎えてくれた大きな心と愛に、ここに居ること自体がうれしくて感謝しています。

杉田あきひろさん
僕は、NHK「おかあさんといっしょ」という番組で9代目歌のお兄さんをやっていました、その後もコンサート活動や舞台などをずっとやってきましたが、薬物で2016年4月に逮捕されまして、その後、5月に保釈され長野ダルクという選択をして、3年1か月生活させていただきました。やめつづけることは出来る、そして回復していくことができる、その姿を皆さんに伝えることが僕の使命・大きなやるべきことなのかなと思って、今日はここに参りました。宜しくお願い致します。

田中紀子
グッドプレス賞を作るきっかけになったのが、高知さんなんですよね。高知さんが捕まった時に「ありがとうなんて軽い言葉!」とコメントしたタレントさんがいて、依存症界としては、「その報道こそおかしい!」と、頭にも来まして、是正を求める要望書を出そうと、松本先生や他の依存症団体と連携が出来たのがこのネットワークなんです。

田中
松本先生、こうやって有名人の方が、笑って体験談を話せるって意義深いですよね。

松本俊彦
本当にそうですね。田中さんが引っぱり出すんですよね(笑)。

田中
みなさんに誤解しないで頂きたいんですけど、ゲストの皆さん自身が表舞台に立ちたいなんてことは全くおっしゃっていないんですね。私たちの方が「もう一度、表舞台で輝いて欲しい」って願っていて、こうして出て来て頂いているんですね。なぜなら、それは私たち依存症者とその家族にとって、「回復できる」というメッセージになることだからです。
けれど、ゲストの皆さんは「他の方に迷惑がかかるから」とか「またバッシングされるから」などの不安と恐れをおっしゃっていらしたんですよね。

高知さん
自分の中で本当に悪い事をしたと迷惑をかけたと。だから、執行猶予期間中は静かにと思うわけなんですけど・・・

松本
芸能界は、執行猶予を謹慎期間だととらえているんですよね。そうしたら、執行猶予が終わったとたんに薬を使っちゃうと思うんですよね。どうやって薬を使わないで、自分らしい生活をしていくのか?っていうのを試行錯誤やっていくのが執行猶予期間だと思うんですよね。

田中
執行猶予中は、働くことを応援して欲しいんですね。働けなかったら再犯するしかありません。だから就労を支援しようと国から補助金がでていますよね。
裁判でも必ず「就職先決まっていますか?」と言われるのに、なんでメディアが自粛ムードになっちゃったのか?これ、すごくまずい方向ですよね。

塚本さん
「薬物で捕まった人たちは、その後出てきて、きちん薬の話をするべきだ」と言われて、一歩踏み出せなかった所に踏み出せました。迷惑をかけた人にも、私がいま元気だと伝えること大切だと思っています。今後も活動を見て頂けたらと思います。

高知さん
生きづらさを生きやすさにかえて、一日一日を楽しんで精一杯がんばります。

杉田さん
今日、こうやって出させてもらって、改めて自分と同じように悩んでいる、失敗して顔を上げられない人たちに発信して、もう一度生きていけるんだと、僕たちが身をもって発信していけるように、毎日一歩ずつがんばって行きたいと思います。

松本
僕、ニコチン依存症なんですけど、ニコチン依存者に一番厳しいのは自力で禁煙した人なんですよ、だからこれからも当事者意識を持っていきたいなと思います(会場笑)
長くやめていることは立派な事なんだけど、やめているからえらくて、やめていない人がえらくない、じゃなくて、やめている人もやめていない人も含めてみんな仲間なんだと思っています。

田中
今日は、長丁場ありがとうございました。
これからも、良い報道をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
来年度も開催いたしますので、良い報道がございましたら、私どもにお知らせください。

 

座談会ゲストの皆さまと

 

取材・お問合せは

03-3555-1725 まで

Return Top